1 つの IP リソースが、2 台のサーバ間で IP Recovery Kit ソフトウェアによって切り替えられる場合、インターフェースが変更されるため、切り替えられる IP アドレスに対応する MAC アドレスが変化します。LAN 上のルータやユーザシステムは、この変更をそれぞれの ARP テーブルに反映しないと、新しい場所の IP アドレスにアクセスできません。オペレーティングシステムによっては、ネットワークインターフェースに新しい IP アドレスが追加されると、ARP パケットが自動的に送信され、サブネット上の全クライアントの ARP テーブルがアップデートされます。Linux にこの機能はありません。そのため LifeKeeper は、切り替え可能な IP アドレスをインターフェースに追加したら ARP パケットを送信し、クライアントの ARP キャッシュを強制的にアップデートする必要があります。
TCP/IP の実装は、このARP パケットに応じて必要な ARP のアップデートを実行する機能の点でさまざまです。以下に、重要な例の一部の説明を示します。
- Linux TCP/IP の全機能の実装: Linux や他のオペレーティングシステムのほとんどが備える TCP/IP の実装では、システムが ARP 要求パケットを受信したときに ARP キャッシュをアップデートする機能がサポートされています。LifeKeeper は前述のようにこの機能を利用して、それらのシステムの ARP キャッシュを強制的にアップデートします。
- ARP キャッシュ: 上記のような ARP の実装をサポートしていなくても ARP キャッシュはサポートしているユーザシステムは、通常、キャッシュ関連のタイマを備え、内容の新しさをあるレベルに維持しています。一部の実装では、タイマの値を減らすことによって、変更されたアドレスのマッピングがそのユーザシステムに反映されるのに必要な時間を最小限にすることができます。LAN 上のユーザー数が少ない場合は、この方法を採用しても構いません。タイマの値を減らす必要がないシステムもあります。たとえば、Windows NT の TCP 実装が使用するタイマ値は 10 秒なので、値を変更する必要はないでしょう。
- 静的アドレスマッピング: 動的 ARP キャッシュを持たないシステムや、キャッシュのタイミングを調整できないシステムでは、ルータを使用してマッピングの変更を処理できます。そのようなユーザシステムは、ルータ (ゲートウェイ) 経由で IP リソースのサブネットにアクセスします。この設定では、キャッシュのアップデートが必要なのはリソースサブネットに直接接続されているルータだけで、ユーザシステム自体で必要な変更はありません。
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