このトピックでは、ネットワークの設定例を示し、2 種類の IP 設定例について説明します。最初の例は、単一の IP リソースに依存して既存のサブネットに設定されている、データベースアプリケーションの典型的な例を示しています。2 番目の例は、複数の IP リソースが設定されたアクティブ / アクティブのシナリオを示しています。
ネットワーク設定
最初の 2 つの設定例は、以下の図に示すネットワーク設定を前提にしています。
ネットワーク設定
このネットワーク設定には以下のコンポーネントが存在します。
- サーバー。 Server 1 と Server 2 の 2 台のサーバーがあり、それぞれに適切な LifeKeeper およびアプリケーションソフトウェアがインストールされています。
- インターフェース。 各サーバーは、次のように設定された 2 つのイーサーネットインターフェース、eth0 と eth1 を備えています。
eth0 eth1 |
Server1 25.0.3.6 Server11 25.0.1.6 |
Server2 25.0.3.7 Server21 25.0.1.7 |
- ネットワーク。 ネットワークは、以下の 3 つのサブネットワークで構成されています。
º 主にサーバー用の、トラフィックが少ないバックボーン(25.0.3)
º サーバーとクライアント両方のための、トラフィックが多いバックボーン(25.0.1)
º トラフィックが多いクライアントネットワーク(25.0.2)
1 つのゲートウェイで、すべての LAN 間の相互接続ルーティングを行います。アドレス解決には DNS(図示されていない)が使用されます。
- ハートビート。 TCP ハートビートコミュニケーションパスは、片方または両方のサーバーサブネットワークを使用して設定されます。
典型的な設定例
Server 1 と Server 2 は、共有ディスクに常駐する mydatabase と呼ばれるアプリケーションにアクセスします。mydatabase アプリケーションと、このアプリケーションへのアクセスに使用される IP リソースが一緒に切り替えられるようにするため、システム管理者は mydatabase アプリケーションリソースを作成し、依存関係で IP リソースをアプリケーション階層に追加します。
以下のような設定上の問題があります。
- アプリケーション階層。 アプリケーション階層が存在しなければ、管理者はそれを IP リソースの親として指定できません。この例では、Server 1 がプライマリーサーバーです。アプリケーションリソースのタグは、mydatabase-on-server1 と mydatabase-on-server2 です。
- IP リソース名。 システム管理者は、IP リソースの名前とアドレスを Server 1 と Server 2 の /etc/hosts ファイル、および DNS データベースに追加します。この例では、IP リソース名は databaseip、そのネットワークアドレスは 25.0.1.2 です。名前と IP アドレスの関連付けが必要でない場合、この作業は不要です。
- ルータ、ゲートウェイ、ユーザー。 databaseip は既存のサブネット上のアドレスであるため、追加の設定は不要です。IP リソースは、25.0.1 サブネット上にあります。すべてのユーザーが、現在 25.0.1 サブネットに到達するために使用しているルートを経由して databaseip に接続します。たとえば、25.0.2 のユーザーはゲートウェイ経由で接続し、25.0.1 のユーザーは直接接続します。
- IP インスタンスの定義。 システム管理者が [Resource Hierarchy Create] 画面で IP リソースとして databaseip を入力すると、ソフトウェアによっていくつかのテストが実行されます。Server 1 が、databaseip に付随するアドレスを特定可能かどうかが確認されます(アドレスは hosts ファイル内にあるか、DNS から検索できます)。検索されたアドレス 25.0.1.2 がすでに使用されていないかも検査されます。IP リソースは 25.0.1 サブネット上にあるため、IP リカバリーソフトウェアは、そのリソースが eth1 インターフェースに設定されていることを確認します。IP リソースに問題がなければ、ウィザードの残りのダイアログボックスに、図 3 の下の表に示したようなデフォルト値が設定されます。すべてのデフォルト値を選択すると、独立した IP リソース階層が ip-databaseip という名前で作成されます。
注意: それぞれの設定図に付随する表は、プライマリーサーバー(Server 1)の場合は [Create Resource Hierarchy] ウィザードに、バックアップサーバー(Server 2)の場合は [Extend Resource Hierarchy] ウィザードに入力される適切な情報の例を示しています。ウィザードに入力する情報の詳細については、このセクションで後述するLifeKeeper 設定作業 セクションを参照してください。これらの表は、Recovery Kit を設定するときに役立つ参照情報となります。
設定に関する注意:
- アプリケーションリソースは mydatabase-on-server1 です。
- IP リソースは databaseip、タグ名は ip-databaseip です。
- mydatabase-on-server1 が障害を起こすと、LifeKeeper はそれを Server 2 に切り替えます(ipdatabaseip は、依存関係がある場合にのみ切り替えられます)。
- Server 1 が障害を起こすと、両方のリソースが Server 2 に切り替えられます。
- スイッチオーバーの間に、databaseip のユーザーは切断されます。ユーザーは再度ログインすると、Server 2 のすべてのアプリケーションにアクセスできます。
- 手動によるスイッチオーバーの間、databaseip 以外の接続を使って Server 1 に接続しているユーザーについては、Server 1 との接続が維持されます。
Server 1 での IP リソース階層の作成
Server: | Server1 |
IP Resource: | databaseip |
Netmask: | 255.255.252.0 |
Network Interface: | eth1 |
IP Resource Tag: | ip-databaseip |
IP リソース階層の Server 2 への拡張
Template Server: | Server1 |
Tag to Extend: | databaseip |
Target Server: | Server2 |
Target Priority: | 10 |
**IP Resource: | 25.0.1.2 |
Netmask: | 255.255.252.0 |
Network Interface: | eth1 |
IP Resource Tag: | ip-databaseip |
** [Extend Wizard] では、その DNS 名に関連付けられている実際の IP アドレスが IP リソースとして表示されます。
IP リソースのテスト
IP リソースが正常に作成されたことを確認するために、システム管理者は以下の作業を行う必要があります。
- LifeKeeper の GUI メニューから、ip-databaseip が Server 1 で In Service (ISP)かどうかを確かめます。
- リモートサーバーから、ping または telnet を使用してアドレス databaseip に接続します。
- Server 2 で in_service オプションを選択し、さらに ip-databaseip を選択して、手動のスイッチオーバーをテストします。IP アドレスが Server 2 に移行されることを確認してください。
アクティブ / アクティブ設定の例
同じネットワーク設定を使用した 2 番目の例では、各サーバーで 1 つずつアクティブになった 2 つの IP リソースを示します。
リソースアドレス
この例では、IP リソースは server1ip (アドレス 25.0.6.20)と server2ip (アドレス 25.0.6.21)です。これらのリソースのエントリーが、各サーバーの /etc/hosts ファイルと、DNS データベースになければなりません。
ルータの設定
選択されたアドレスは新しい(論理)サブネット上にあるため、eth0 または eth1 に設定できます。ただし、どちらも同じインターフェースを使用している必要があります。
この例では、eth0 を選択すると、すべてのユーザーがゲートウェイを経由しなければならなくなります。eth1 を選択すると、サブネット 25.0.1 のユーザーはリソースに直接アクセスできます(新しいサブネットが内部のルーティングテーブルに追加されていることが前提です)。サブネット 25.0.2 上のユーザーには、やはりゲートウェイが必要です。この例の場合、選択されたインターフェースは eth1 です。
新しいサブネットをサポートするために、どの物理ネットワークが選択されたかにかかわりなく、ネットワーク管理者はルーティング情報をゲートウェイシステムに追加してから IP リソースを作成する必要があります
最初の IP リソース定義
管理者は、最初の IP リソースを Server 1 に作成します。eth0 は、各サーバーで利用可能な最初のインターフェースであり、デフォルトとして提示されます。eth1 をインターフェースとして定義するときは、利用可能なインターフェースの一覧から選択します。
Server 1 での IP リソース階層の作成
Server: | Server1 |
IP Resource: | server1ip |
Netmask: | 255.255.252.0 |
Network Interface: | eth1 |
IP Resource Tag: | ip-server1ip |
IP リソース階層の Server 2 への拡張
Template Server: Tag to Extend: Target Server: Target Priority: **IP Resouce: Netmask: Network Interface: IP Resource Tag: |
Server1 server1ip Server2 10 25.0.6.20 255.255.252.0 eth1 ip-server1ip |
** [Extend Wizard] では、その DNS 名に関連付けられている実際の IP アドレスが IP リソースとして表示されます。
2 番目の IP リソース定義
管理者は、2 番目の IP リソースを Server 2 に作成します。eth0 は、各サーバーで利用可能な最初のインターフェースであり、デフォルトとして提示されます。eth1 をインターフェースとして定義するときは、利用可能なインターフェースの一覧から選択します。
Server 2 での IP リソース階層の作成
Server: IP Resource: Netmask: Network Interface: IP Resource Tag: |
Server2 server2ip 255.255.252.0 eth1 ip-server2ip |
IP リソース階層の Server 1 への拡張
Template Server: Tag to Extend: Target Server: Target Priority: **IP Resouce: Netmask: Network Interface: IP Resource Tag: |
Server2 server2ip Server1 10 25.0.6.21 255.255.252.0 eth1 ip-server2ip |
** [Extend Wizard] では、その DNS 名に関連付けられている実際の IP アドレスが IP リソースとして表示されます。
注意: サブネット 25.0.6 は Server 2 ではアクティブでないため、eth0 と eth1 の両方をプライマリーネットワークインターフェースのために選択できます。Server 1(バックアップサーバー)では、最初の IP リソース 25.0.6.20 が In Service であるため、eth1 だけが選択可能です。管理者が定義を保存すると、LifeKeeper はアドレス 25.0.6.21 を Server2 の eth1 で In Service にします。
IP リソースのテスト
管理者は以下のテストを行って、新しいリソースが両方のサーバーで機能していることを確認する必要があります。
- プライマリーサーバーの各リソースについて、ping または telnet を使用してそれぞれにアクセス可能であるか確認します。管理者は、すべてのユーザーサイトからの接続をテストすることもできます。
- 手動で ip-server1ip を Server 2 で In Service にして、スイッチオーバーをテストします。両方のリソースが Server 2 で機能していることを確認してください。
- 両方のリソースを Server 1 で In Service にします。両方のリソースが Server 1 で機能していることを確認してください。
- ip-server2ip を、プライマリーサーバーの Server 2 で In Service に戻します。
このトピックへフィードバック