SIOS Protection Suite をインストールする前に、ネットワークを構成し正常に動作していることを確認することが重要です。ネットワークの動作を確認するために、この時点で行う作業がいくつかあります。
- TCP/IP コミュニケーションパスを作成したり、IP アドレスを保護したりするには、すべてのネットワークインターフェースカード (NIC) が固定 IP アドレスを 1 つ持っていることを確認する必要があります。
- サーバに複数の NIC がある場合 (推奨)、異なるサブネット上に構成してください。アダプタが同じサブネット上にある場合、TCP/IP では 2 つ目のアダプタを効果的に使用することができません。
- IP アドレスは以下のように構成してください。各サーバに少なくとも 2 つの NIC (プライベートネットワークに 1 つ、パブリックネットワークに 1 つ) があるものとします。
a. [コントロール パネル] で [ネットワーク接続] をクリックしてください。[開く] を右クリックしてください。
b. [詳細] メニューから [詳細設定] を選択してください。
c. パブリックネットワークに接続された NIC が [接続] リストの一番上にあることを確認してください。
d. プライベートネットワーク接続は DNS に登録しないでください。プライベートネットワークアダプタについては、以下の手順に従って [DNS] タブを開き、[この接続のアドレスを DNS に登録する] チェックボックスをオフにしてください。
[Internet Protocol (TCP/IP) Properties]-> [詳細]-> [DNS] Tab
プライベートネットワーク接続には DNS サーバは不要なので、リストには何も含めないでください。
これによって、LAN Manager コンピュータ名のスイッチオーバ時にブラウザが混乱するのを防ぐことができます。
- 各サーバから、ローカルサーバおよびクラスタ内の他のサーバに ping を実行してください。ping が失敗する場合は、続行する前に必要なトラブルシューティングと修正処置を行ってください。
- LifeKeeper GUI サーバとクライアントコンポーネントが効果的に通信できるようにすることで、クラスタ内の各サーバが localhost を解決できるようになります。
・DNS が実装されていなければ、 %windir%\system32\etc\drivers\hosts ファイルを編集し、localhost 名を追加してください。ローカルサーバの IP アドレス、またはデフォルトエントリ (127.0.0.1) を指定できます。localhost を解決できないと、LifeKeeper GUI が動作しない場合があります。
・DNS を実装した場合は、構成を確認して、SIOS Protection Suite クラスタ内のサーバが DNS を使用して解決されるようにしてください。
- 各サーバのホスト名およびネットワークアドレス指定情報が正しく、SIOS Protection Suite をインストールしても変わらないことを確認してください。SIOS Protection Suite を起動した後にホスト名を変える場合は、lk_chg_value ユーティリティを実行して、SIOS Protection Suite 構成ファイル内のコンピュータ名を変更する必要があります。SIOS Protection Suite を起動した後にネットワーク構成を変える場合は、ネットワーク情報を再構成した後、lk_chg_value ユーティリティを実行して、既存の SIOS Protection Suite コミュニケーションパスおよびリソース階層を変更する必要があります。
注記: SIOS DataKeeper for Windows を使用している場合は、ドキュメントの SIOS DataKeeper セクションで、レプリケーションに使用するネットワークカードの指定に関する追加情報と、コミュニケーションパスの考慮事項を参照してください。
切り替え可能な IP アドレス
ほとんどの SIOS Protection Suite 構成では、IP Recovery Kit を使用して、切り替え可能な IP アドレスが定義されます。切り替え可能な IP アドレスとは、サーバ間で切り替えることができる「仮想」 IP アドレスであり、各サーバのネットワークインターフェースカードに関連付けられた IP アドレスから分離されています。SIOS Protection Suite によって保護されるアプリケーションには、切り替え可能な IP アドレスが関連付けられます。その後、プライマリサーバに障害が発生した場合は、切り替え可能な IP アドレスがバックアップサーバに「切り替わり」ます。
切り替え可能な IP アドレスのリソース階層を構成する予定がある場合は、クラスタ内の各サーバで以下の操作を実行する必要があります。
- コンピュータ名が正しく、変わらないことを確認してください。
- ネットワーク上で、切り替え可能な IP アドレスが一意であることを確認してください。
注記: チーミングソフトウェアを使用するか、仮想 IP リソースを作成した後、ネットワークカードを変更すると、仮想 IP リソースがいったん削除され、ネットワークカードのインデックス番号を反映した IP リソースが再作成されます。
切り替え可能な IP アドレス、DNS、および LifeKeeper GUI の考慮事項
サーバのメイン NIC で「仮想」 IP アドレスを使用するときに NIC 上で DNS 登録が有効になっている 場合は、ネットワークについて特別に考慮する必要があります。登録された NIC で SIOS Protection Suite によって「仮想」 IP アドレスが作成される場合、DNS はサーバに対してこの IP アドレスを追加し、ネットワーク上のホスト名の解決に使用し始めます。ただし、SIOS Protection Suite によって保護される「仮想」 IP アドレスはクラスタノード間で切り替え可能です。そのため、LifeKeeper GUI が DNS に登録された「仮想」 IP アドレスを使用して、ローカルおよびリモートのクラスタノードから更新を取得するのを回避するための予防措置が必要になります。
「仮想」 IP アドレスを使用する場合にローカルシステムおよびリモートシステムへの LifeKeeper GUI の接続を安定させる方法は 2 つあります。
- 各 SIOS Protection Suite ノードのネットワーク hosts ファイルを使用する。
- hosts ファイルで、他のすべてのリモートクラスタノードに対して固定 IP アドレスを指定してください。
- クラスタ内のすべての SIOS Protection Suite システムでこれを実行してください。
前述のように、これらのアドレスは、LifeKeeper GUI のバインドに使用される、優先順位が最も高いネットワーク上になければなりません。
- クラスタ内の他のすべてのノードへの LifeKeeper GUI の接続に、代替ネットワークおよび関連する代替 NIC を使用する。この方法は、上述の簡単な推奨方法とは異なります。
- 代替ネットワークおよび NIC 上の DNS 登録を有効にしてください。
- [ネットワーク接続] -> [詳細] -> [詳細設定] の順に選択して、[アダプタとバインド] タブで代替ネットワークの優先順位を最も高くしてください。LifeKeeper GUI では、この優先順位が最も高いバインドネットワークが使用されます。
- 優先順位が最も高い SIOS Protection Suite コミュニケーションパスでも、このネットワークが使用されます。
- クラスタ内のすべての SIOS Protection Suite システムでこれを実行してください。
LifeKeeper GUI では、すべてのクラスタノードへの接続にこの代替ネットワークが使用されます。この代替ネットワークには仮想 IP が割り当てられておらず、アドレス登録は安定しています。DNS 登録は、必要に応じてサーバのメイン/パブリック NIC にも使用できます。
注記: ネットワーク構成を変更した後に「ipconfig /flushdns」コマンドを使用すると、キャッシュされた古い DNS 情報を削除することができます。
IP ローカルリカバリ構成
SIOS Protection Suite は切り替え可能なローカル IP アドレスを監視し、障害を検出すると、同じシステム上の別のネットワークアダプタに IP アドレスを移動します。この機能は IP ローカルリカバリと呼ばれ、システム設定に関する次の要件と制限があります。
バックアップアダプタはローカルリカバリアダプタとも呼ばれ、プライマリアダプタに障害が発生すると、切り替え可能なアドレスがアクティブになります。バックアップアダプタを設定するには、次の手順に従ってください。
- 2 つのアダプタを同じ物理サブネットに接続します。
- ローカルリカバリアダプタの全アドレスは、適切にルーティングできるように、プライマリアダプタの実アドレスと異なる論理サブネット上に置く必要があります。また、プライマリアダプタに設定して SIOS Protection Suite で保護する仮想 IP アドレスとは異なる論理サブネットに置く必要があります。
- IP ローカルリカバリ機能は、IP リソースを作成する際に有効にすることができます。IP リソースを作成した後、リソース属性を変更しても、ローカルリカバリ機能を IP リソースに追加できません。
- IP リソースの IP ローカルリカバリ機能を無効にするには、「ins_setlocalrecovery」コマンドラインユーティリティを使用してください。このユーティリティは、SIOS Protection Suite の bin ディレクトリ (デフォルトで C:\LK\bin ) に格納されています。このユーティリティの使用方法とオプションの説明を参照するには、コマンドプロンプトから「ins_setlocalrecovery」を実行してください。
IP ローカルリカバリの動作
IP ローカルリカバリ機能を有効にした場合、定期的に実行する IP リソースのディープチェックが失敗すると、SIOS Protection Suite は次の処理を実行します。
- SIOS Protection Suite はまず現在のネットワークアダプタで IP アドレスを再起動します。
- 前記の処理に失敗すると、SIOS Protection Suite は、リソースインスタンスをチェックし、バックアップ (ローカルリカバリアダプタ) が使用できるか調べます。バックアップインターフェースが使用できる場合は、IP アドレスをバックアップインターフェースに移動します。
- ローカルリカバリが完全に失敗すると、SIOS Protection Suite は、IP アドレスと依存リソースをバックアップサーバにフェイルオーバします。
ローカルリカバリ機能は、バックアップアダプタがなくても有効にすることができます。ローカルリカバリ機能を有効にすると、SIOS Protection Suite はプライマリネットワークのインターフェースを再起動しますが、それに失敗すると、リソースをバックアップサーバにフェイルオーバします。
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