LifeKeeper for Windowsは、障害が発生したプライマリーサーバーからバックアップサーバーへ IP アドレスを引き継ぐメカニズムを提供します。IPアドレスリソースを作成することによって、保護されたアプリケーションへの接続に使用できる IP アドレス(仮想IPアドレス)を定義できます。他の LifeKeeper リソースと同様に、IP アドレスリソースのスイッチオーバーは、障害が発生した結果として自動的に開始するか、管理者の操作によって手動で開始することができます。
また、それぞれのサーバーに設定されているサーバー固有のIPアドレス(実IPアドレス)を使用することも可能です。実IPアドレスを使用した場合は、IPアドレスの引き継ぎはできませんが、Route53リソースやDNSリソースと組み合わせることによって、保護されたアプリケーションへDNS名を使って接続する構成を容易に構築することができます。
IPアドレスリソースのローカルリカバリーを有効にした場合には、LifeKeeper for Windows は切り替え可能なローカル IP アドレスを監視し、障害を検出すると、同じシステム上の別のネットワークアダプターに IP アドレスを移動します。切り替え可能な IP アドレスを使用すると、リソース階層全体をバックアップノードにフェイルオーバーすることを回避できます。
IP ローカルリカバリー機能には、システム設定に関する次の要件と制限があります。
IP ローカルリカバリーの要件
IP ローカルリカバリーでは、サーバー上で LifeKeeper for Windows が保護する各 IP アドレスに オプション のバックアップネットワークインターフェースを指定できます。バックアップインターフェースを正常に機能させるには、プライマリーインターフェースと 同じ物理ネットワーク に接続する必要があります。システム管理者は有効なインターフェースを選択する必要があります。バックアップインターフェースは 1 台のサーバーに指定します。他のクラスターサーバーに指定しても意味がありません。つまり、1 台のサーバーでバックアップインターフェースを選択しても、他のサーバーのバックアップインターフェースの選択には影響しません。
バックアップアダプターはローカルリカバリーアダプターとも呼ばれ、プライマリーアダプターに障害が発生すると、切り替え可能なアドレスがアクティブになります。バックアップアダプターを設定するには、次の手順に従ってください。
- IP ローカルリカバリー機能を使用するには、ネットワークにゲートウェイを設置します。具体的には、サーバーの TCP/IP 設定の [デフォルトゲートウェイ] フィールドに、有効なネットワークゲートウェイのアドレスを指定します。
- IP ローカルリカバリー機能は、IP リソースを作成する際に有効にすることができます。IP リソースを作成した後、リソース属性を変更しても、ローカルリカバリー機能を IP リソースに追加できません。
- IP リソースの IP ローカルリカバリー機能を無効にするには、「ins_setlocalrecovery」 コマンドラインユーティリティを使用してください。このユーティリティは、LifeKeeper の ¥bin ディレクトリー (デフォルトで C:\LK\bin ) に格納されています。このユーティリティの使用方法とオプションの説明を参照するには、コマンドプロンプトから「 ins_setlocalrecovery 」を実行してください。
LifeKeeper for Windows 階層に IP アドレスリソースを作成して使用する場合は、 ネットワーク構成の確認 の説明に従ってネットワークを設定し、テストしてください。
設定が完了したら、ping を打ち、仮想 IP アドレスが一意なことを確認します。仮想 IP アドレスは必須ではありませんが、IP アドレス階層を作成すると、自動的に作成されます。
IP アドレスのリソース階層をプライマリーノードに作成するには、次の手順に従ってください。
- サーバーを選択します。次に、 サーバコンテキストメニュー または サーバコンテキストツールバー の [リソース階層の作成] をクリックします。
- [保護するアプリケーションを作成] ダイアログが起動し、クラスターにインストールされているリカバリキットの一覧が表示されます。 [IP アドレス] をクリックし、 [次へ] をクリックします。
- ウィザード の指示に従って、以下の情報を入力します。ダイアログボックスの [戻る] ボタンがアクティブになっているときは、直前のダイアログボックスに戻ることができます。これは特に、前に入力した情報の訂正が必要なエラーが発生した場合に役立ちます。階層の作成手順の間に [キャンセル] をクリックすると、LifeKeeper for Windows は作成プロセス全体を取り消します。
フィールド | 説明 |
---|---|
保護するIPアドレスの種類 | 仮想IPアドレスまたは実IPアドレスを選択してください。 仮想IPアドレスを選択した場合は、同一の仮想IPアドレスをサーバー間で引き継いで使用することができます。フェイルオーバー前後でクライアントから同一のIPアドレスでアクセスする場合は仮想IPアドレスを選択してください。 実IPアドレスを選択した場合は、それぞれのサーバーに設定されているサーバー固有のIPアドレス(実IPアドレス)を保護します。フェイルオーバー前後でクライアントからのアクセスに使用するIPアドレスは異なるものとなります。DNSリソースやRoute53リソースと組み合わせて使用する場合は実IPアドレスを選択してください。 |
IP アドレス | LifeKeeper for Windowsがリソースに使用するIPアドレスを指定します。 仮想IPアドレスを選択した場合には、仮想 IP アドレスを入力します。クライアントアプリケーションは、この IP リソースを使用して、特定のネットワークインターフェースを介して親アプリケーションにログインします。 実IPアドレスを選択した場合には、OSに設定されている実IPアドレスのリストから、プライマリーサーバーで使用するIPアドレスを選択します。 |
サブネットマスク | TCP/IP リソースがバックアップノードで使用する IP サブネットマスクを指定します。TCP/IP リソースのアドレスクラスに対応した標準的なネットマスクを指定できます。 注記: TCP/IP リソースが使用するサブネットは、ここで選択したサブネットマスクと前記の IP アドレスによって決まるため、ネットワーク設定を統一する必要があります。 実IPアドレスを選択した場合には、OSに設定されているサブネットマスクが使用されますので、この入力フィールドは表示されません。 |
IP リソースタグ | 作成している IP リソースインスタンスの一意の IP リソースタグ名を選択するか入力します。このフィールドには、リソース名または IP アドレスに一致するデフォルトのタグ名が自動的に設定されます。タグ名は変更できます。 注意 : タグ名に使用できる文字はASCII印字可能文字のみです。 |
ネットワーク接続 | これは、IPアドレスが設定されている物理的なイーサネットカードです。有効な選択肢は、既存のネットワーク構成と、TCP/IPリソースアドレスおよびネットマスクに対して選択された値によって異なります。デフォルト値は、有効な選択肢の中で、以前のダイアログで選択したアドレスとネットマスクの値に最も近いインターフェースとなります。 実IPアドレスを選択した場合には、選択した実IPアドレスが設定されているイーサネットカードが使用されますので、この入力フィールドは表示されません。 |
ローカルリカバリーのネットワーク接続 | ローカルリカバリーを有効にした場合、バックアップインターフェースとして使用するネットワーク接続を選択する必要があります。バックアップノードに NIC がなければ、プライマリーノードの NIC を指定します。 実IPアドレスを選択した場合には、ローカルリカバリーは常に無効になりますので、この入力フィールドは表示されません。 |
- データの入力が完了すると、 [次へ] ボタンが表示されます。[次へ] をクリックすると、LifeKeeper for Windows はリソース階層の作成と検証を実行します。
- リソース階層が正常に作成されたことを伝えるメッセージが表示されたら、 [次へ] をクリックして操作を続けます。問題が発生すると情報ボックスにエラーが表示され、部分的に作成されたリソース階層が削除されて、 [次へ] ボタンが無効になります。その場合は、 [キャンセル] をクリックして、 ウィザード を終了してください。
注記: チーミングソフトウェアを使用するか、仮想 IP リソースを作成した後、ネットワークカードを変更すると、仮想 IP リソースがいったん削除され、ネットワークカードのインデックス番号を反映した IP リソースが再作成されます。
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