SAP システムを保護するには、SAP 階層が必要です。この SAP 階層は、コア (セントラルサービス) リソース、ERS リソース、プライマリリソース、セカンダリリソースで構成されます。この階層を作成するには、プライマリサーバから次の作業を実行します。 注記: 以下の例は、階層作成の指針として提供するものです。実際の構成によって、作業は少々異なります。
コアリソースの作成
- LifeKeeper GUI メニューから [Edit] を選択し、次に [Server] を選択します。ドロップダウンメニューから、 [Create Resource Hierarchy] を選択します。
ダイアログボックスが表示され、クラスタ内にインストールされ認識されているすべての Recovery Kit が、ドロップダウンリストボックスに一覧で示されます。ドロップダウンメニューから [SAP] を選択します。
[Next] をクリックします。
ダイアログボックスで [Back] ボタンが有効な場合は、前のダイアログボックスに戻ることができます。これは、エラーが発生して、以前に入力した情報を訂正する必要がある場合に特に役立ちます。
階層作成の途中で [Cancel] ボタンをクリックすると、作成処理全体が取り消されます。
- [Switchback Type] を選択します。この選択によって、バックアップサーバへのフェイルオーバの後、SAP インスタンスがサービス中に戻るときに、このサーバにどのようにスイッチバックされるのかが決まります。 [intelligent] または [automatic] を選択できます。 [Intelligent switchback] の場合、インスタンスをプライマリ / オリジナルサーバにスイッチバックするときに管理者の介入が必要になります。 [Automatic switchback] の場合、プライマリサーバがオンラインに戻り、LifeKeeper コミュニケーションパスを再確立した直後に自動的にスイッチバックが行われます。
スイッチバックタイプは、必要に応じて [Resource Properties] ダイアログボックスの [General] タブで後から変更できます。
[Next] をクリックします。
- SAP PAS、ASCS、または SCS を配置するサーバ (通常これは、プライマリサーバまたはテンプレートサーバと呼ばれます) を選択します。クラスタ内のすべてのサーバがドロップダウンリストに表示されます。
[Next] をクリックします。
- [SAP SID] を選択します。これは、保護対象の SAP PAS、ASCS、または SCS システムのシステム識別子です。
[Next] をクリックします。
- 保護対象の SID に対する SAP インスタンス名 (例: ASCS<No.> ) (コアインスタンスが先) を選択します。
[Next] をクリックします。
注記: 保護およびリカバリレベルのカスタマイズに関して、その他の画面が表示されることがあります。
- [IP Child Resource] を選択します。これは、一般的に、SAP インストール中にメモした仮想ホスト IP アドレス (SAPINST_USE_HOSTNAME) か、フェイルオーバに必要な IP アドレスのいずれかです。
a. LifeKeeperがインスタンスの 依存ファイルシステムの作成を自動化するかどうか を選択します。 yes を選択すると、LifeKeeperは必要なファイルシステムリソースを作成し、それをSAPリソースの下に依存関係として追加します。(複製されたファイルシステムは自動では作成できません)。 no を選択すると次のダイアログボックスが表示され、依存関係として追加する既存のLifeKeeperファイルシステムリソースを選択するよう求められます。
b. 前のダイアログで no を選択した場合、SAPリソースの下に依存関係として追加されるファイルシステムリソースを選択するオプションが提供されます。Ctrlキーを押しながら各リソースをクリックすると、複数のリソースを選択できます。 注記: このダイアログで選択肢として表示するには、LifeKeeperのこのサーバでファイルシステムリソースがIn Service(ISP)になっている必要があります。
- [SAP Tag] を選択または入力します。これは、LifeKeeper が SAP リソースに与えるタグ名です。デフォルトを選択するか、独自のタグ名を入力することができます。デフォルトのタグは、 SAP-<SID>_<INST> です。
[Create] をクリックすると、 [Create SAP Resource Wizard] によって SAP リソースが作成されます。
- この時点で情報ボックスが表示され、LifeKeeper は、SAP リソース階層を作成するのに有効なデータが提供されているか検査します。LifeKeeper が問題を検知した場合は、情報ボックスにエラーが表示されます。検証が正常に完了すると、リソースが作成されます。SAP の起動スクリプトによって出力されたエラーやメッセージが、情報ボックスに表示されることもあります。
[Next] をクリックします。
- 別の情報ボックスが表示され、SAP リソース階層が正常に作成されたことが示されます。SAP リソース階層を LifeKeeper の保護下に置くには、その階層をクラスタ内の別のサーバに 拡張 する必要があります。
[Next] をクリックすると、 [Pre-Extend Wizard] が起動します。このウィザードについては、本セクションで後述します。
ここで [Cancel] をクリックすると、別のダイアログボックスが表示され、いずれかの時点でここに戻り、SAP リソース階層を別のサーバに拡張して、LifeKeeper の保護下に置く必要があることが警告されます。
- [Extend Wizard] ダイアログに「 Hierarchy successfully extended 」と表示されます。 [Finish] をクリックします。
- [Hierarchy Integrity Verification] ダイアログが表示されます。階層の検証が終了したら、 [Done] をクリックして、 [Create Resource Hierarchy] メニューを終了します。
コアが最上位レベルにある階層
ERS リソースの作成
ERSリソースは、コアインスタンス(セントラルサービスインスタンス)またはエンキューサーバプロセスの単一障害点に対する追加の保護を提供します。コアインスタンス(セントラルサービスインスタンス)に障害が発生して再起動されると、コアインスタンスはエンキューレプリケーションサーバからエンキューロックテーブル(レプリケーションテーブル)のバックアップコピーを取得します。その結果、エンキューサーバに障害が発生してもトランザクションや更新は失われず、SAPシステムのサービスが継続されます。
SPS-Lのバージョン9.4.0以降と9.4.0より前でのERSリソースの実装の違いの説明については、LifeKeeperのERSリソースタイプ を参照してください。
次の手順を実行して、ERSリソースを作成します。
- LifeKeeper GUIメニューから、 [Edit] 、 [Server] の順に選択します。ドロップダウンメニューから、 [Create Resource Hierarchy] を選択します。クラスタ内にインストールされ、認識されているすべてのリカバリーキットを含むドロップダウンリストボックスのあるダイアログボックスが表示されます。ドロップダウンリストから SAP を選択し、 [Next] をクリックします。
- Switchback Type を選択し、 [Next] をクリックします。
- 重要: 対応するASCS/SCSインスタンスが ISPではない クラスタ内の サーバ を選択します。 [Next] をクリックします。
- ERSインスタンスの SAP SID を選択し、 [Next] をクリックします。
- SAPインスタンス名 (例. ERS<No.>) を選択し、 [Next] をクリックします。
- ERSv2インスタンスを表すリソースを作成する場合は、 IP Child Resource を選択します。ERSv1インスタンスを表すリソースを作成する場合、この選択画面は表示されません。
- ERSv2インスタンスを表すリソースを作成する場合、ERSリソースの下に依存関係として追加する Dependent Filesystem Resource を選択します。このリストに表示させるには、LifeKeeperのこのサーバでファイルシステムリソースがIn Service(ISP)になっている必要があります。ERSv1インスタンスを表すリソースを作成する場合、この選択画面は表示されません。
- SAP Tag を選択するか、入力します。
- プロンプトに従って、 リソース階層を拡張します 。 注記: ERSv1インスタンスを表すリソースは、1つのバックアップサーバにのみ拡張できます。ERSv1階層を3番目のクラスタノードに拡張しようとすると、階層の拡張は失敗します。
- [Hierarchy Successfully Extended] と表示されたら、 [Finish] を選択します。
- [Done] を選択します。
ASCSおよびERSv1が別の階層にあります
ASCSおよびERSv2が別の階層にあります
ASCSインスタンスがENSAv2を実行し、ERSインスタンスがERSv2を実行しており、3つ以上のノードを持つクラスタ内の同じシステムに階層が拡張されている場合、ASCSおよびERSリソース階層は、特別な「階層回避」Genericアプリケーションリソースを使用することにより、スイッチオーバーとフェールオーバーで互いを回避するように強制できます。
これらのリソースを作成し、ASCSおよびERS階層に依存関係として追加する方法の詳細については、ENSAv2/ERSv2使用時にASCS/ERSに回避動作を強制する を参照してください。 注記: これらの階層回避リソースは、ENSAv1/ERSv1構成または2ノードクラスタでは使用しないでください。
プライマリアプリケーションサーバリソースの作成
- ここでも同様に、同じ SAP SID について上記の手順を繰り返し、 DVEBMGS{ XX } (ここで {XX} はインスタンス番号) を選択して、プライマリアプリケーションサーバリソースを作成します。
- 画面の指示に従って、 [Level of Protection] を選択します (デフォルトは [FULL] )。 [Next] をクリックします。
- 画面の指示に従って、 [Level of Recovery] を選択します (デフォルトは [FULL] )。 [Next] をクリックします。
- [Dependent Instances] の入力を要求されたら、「親」インスタンス、すなわち、上記で作成した ERS インスタンス を選択します。
- [IP Child Resource] を選択します。
- 画面の指示に従ってリソース階層を拡張します。
- 「 Hierarchy Successfully Extended 」と表示されたら、 [Finish] をクリックします。
- [Done] を選択します。
セカンダリアプリケーションサーバリソースの作成
必要な場合、セカンダリアプリケーションサーバリソースを同様の方法で作成します。
注記: コマンドラインでの手順については、コマンドラインによる SAP の設定 を参照してください。
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