このセクションでは、SAP S/4HANA 1909 AS ABAP環境をデプロイし、LifeKeeper SAP Recovery Kitを使用してABAP SAP Central Services (ASCS) と対応するEnqueue Replication Server (ERS) インスタンスを保護します。LifeKeeperを使用して冗長化されたプライマリーアプリケーションサーバー(PAS)インスタンスを保護することは可能ですが、ここでは代わりに2つのアベイラビリティゾーンにまたがる1つのPASインスタンスと1つの追加アプリケーションサーバー(AAS)インスタンスからなる外部アプリケーションサーバープールを作成する方法を取ります。

PASとAASインスタンスはLifeKeeperによって保護されないため、このガイドでは高可用性Central Services(ASCS/ERS)クラスターのインストールと設定のみを詳細に説明します。またこのセクションでは、高可用性データベースクラスター(例:SAP HANAを使用する場合など)の構成については説明していません。インストールされているデータベースに関連するガイドのセクションを参照して、計画中の SAP 環境に適合するように調整してください。

作成されるセントラルサービスクラスターノードの詳細を以下に示します。このガイドで説明するインスタンスのプロビジョニングは、評価でアプリケーションを実行するために必要な最低限の仕様を示しており、一般的に生産的なワークロードを処理するには十分ではありません。本番環境でVMをプロビジョニングする際のベストプラクティスについては、SAPおよびクラウドプロバイダーが提供するドキュメント(Hardware Requirements for SAP System Hostsなど

デプロイメントで使用するオペレーティングシステムと構成は、SAP、SIOS、およびクラウドプロバイダーによってサポートされている必要があります。SAP NetWeaverおよびS/4HANAのさまざまなバージョンでサポートされているオペレーティングシステムを確認するには、SAPの Product Availability Matrix (PAM) を参照してください。.

評価デプロイメントのためのクラスターアーキテクチャ

  • node-a (プライマリーASCSインスタンスホスト、スタンバイERSインスタンスホスト、プライマリーNFSサーバー)
    • プライベートIP: 10.20.1.10
    • vCPU’s: 2
    • メモリー: 4GB
    • SAP NFS共有マウント済み
    • SAPインスタンスASCS10とERS20がSID「SPS」の下にインストールされている
    • LifeKeeper for LinuxのQuorum/Witness機能を有効にし、以下のRecovery Kitがインストールされている
      • SAP Recovery Kit
      • SIOS DataKeeper
      • NFS Recovery Kit
      • [AWS] EC2 Recovery Kit
      • [Azure, Google Cloud] Generic Application Recovery Kit for Load Balancer Health Checks (GenLB Recovery Kit)
  • node-b (プライマリーERSインスタンスホスト、スタンバイASCSインスタンスホスト、スタンバイNFSサーバー)
    • プライベートIP: 10.20.2.10
    • vCPU’s: 2
    • メモリー: 4GB
    • NFS共有マウント済み
    • SAPインスタンスASCS10とERS20がSID「SPS」の下にインストールされている
    • LifeKeeper for LinuxのQuorum/Witness機能を有効にし、以下のRecovery Kitがインストールされている
      • SAP Recovery Kit
      • SIOS DataKeeper
      • NFS Recovery Kit
      • [AWS] EC2 Recovery Kit
      • [Azure, Google Cloud] Generic Application Recovery Kit for Load Balancer Health Checks (GenLB Recovery Kit)
  • node-c (Quorum/Witness node)
    • Private IP: 10.20.3.10
    • vCPU’s: 1
    • Memory: 2GB
    • LifeKeeper for LinuxのQuorum/Witness機能を有効にし、以下のRecovery Kitがインストールされている
  • node-d (プライマリーアプリケーションサーバーホスト)
    • プライベートIP: 10.20.1.5
    • vCPU’s: 2
    • メモリー: 4GB
    • SAP NFS共有マウント済み
    • SAP PASインスタンスD01がSID「SPS」の下にインストールされている
  • node-e (追加のアプリケーションサーバーホスト)
    • プライベートIP: 10.20.2.5
    • vCPU’s: 2
    • メモリー: 4GB
    • SAP NFS共有マウント済み
    • SAP AASインスタンスD02がSID「SPS」の下にインストールされている
  • ASCS10仮想ホスト名:sps-ascs
  • ERS20仮想ホスト名:sps-ers
  • NFS共有ファイルシステム:
    • /sapmnt/SPS
    • /usr/sap/trans
  • SIOS DataKeeperレプリケーションファイルシステム:
    • /usr/sap/SPS/ASCS10
    • /usr/sap/SPS/ERS20

クラウド固有のアーキテクチャ図

アマゾンウェブサービス(AWS)上のSIOSで保護されたASCS/ERSクラスター

Microsoft Azure上のSIOSで保護されたASCS/ERSクラスター

Google Cloud上のSIOSで保護されたASCS/ERSクラスター

前提条件

このガイドに従うには、次の前提条件がすでに完了している必要があります。

  1. 3つのVMインスタンス(node-a, node-b, node-c)が、このガイドで前述したネットワーク規約を使用して作成されている。ファイアーウォールルールは、ノード間通信とSSH接続を許可するように配置されている。詳細については、ネットワークコンポーネントの設定とインスタンスの作成 を参照してください。
  1. 3つのVMインスタンスはすべて、LifeKeeper for Linuxを実行するように構成されている。特に、SELinuxは無効、ファイアーウォールは無効、各ノードの/etc/hostsファイルには各ノードのホスト名をそのプライベートIPに解決するためのエントリーが含まれ、rootユーザーは各ノードで同じパスワードを使用している。詳細については LifeKeeper for Linuxを実行するためのLinuxノードの設定 を参照してください。
  1. LifeKeeper for Linuxは、Quorum/Witness機能を有効にして3ノードすべてにインストールされており、node-aとnode-bには必要なすべての追加のRecovery Kitがインストールされている。node-c(Witnessノード)には、LifeKeeperのコアインストール以外に追加のRecovery Kitは必要ありません。各ノードに必要なすべてのSIOSライセンスがインストールされている。詳細については、LifeKeeper for Linux のインストールを参照してください。
  1. LifeKeeperのコミュニケーションパスは、クラスターノードの全てのペア間で定義されている。3つの双方向コミュニケーションパス(node-a ↔ node-b,、node-a ↔ node-c、 node-b ↔ node-c)を作成する必要があることに注意してください。詳細については、ログインと基本設定タスクを参照してください。

これらの作業をすべて完了すると、LifeKeeperのGUIは以下の画像のようになります。

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